
こんばんわ。
おなるくんです。
地獄の一ヶ月を抜けた私は、完全に解放されていました。
包丁じゃなく、やっとチンポを握れる日々。
(はい復活!オナニー連投モード突入!)
FANZAの新作を時間無制限で漁る背徳感――最高。

映画を見てみたり、アニメをチェックしたり。働かないって最高だなー。
でも同時に、頭の片隅には「もうやるしかない!」という決意が残っている。
だって、仕事ないからお金なくなっちゃう。あーー怖っ。
怖いけど逆にチャンスでもある。
どうせ追い込まれるなら、自分の店で勝負したい。
「オレが本当にやりたかったこと、もう逃げられない」って未来がチラついて、
ちょっとワクワクしてる自分もいた。
だから昼間は創業計画書を練り直したり、借入のために国民政策金融公庫・銀行
商工会に行ったり、厨房機器の見積もりを出したり、レシピのまとめや業者の打ち合わせ。
物件が出たときには、すぐ動ける状態にしなくちゃ。あー――楽しい。
心が完全に“自分のため”に戻ってきていた。
そんなルンルン気分のときは、やっぱり地元のマイメンに会いたくなるものです。
いつものように友人の焼鳥屋に顔を出すと、デザインをお願いしている仲間も合流して、
ちょっとした打ち合わせになりました。
近況を報告しつつ、先月の居酒屋での地獄の日々を話すと、友人が真顔でこう言いました。
「おなる、なんで居酒屋なんか手伝ってんの? 自分のことやれよ!」
その言葉は胸にズシンと刺さりました。説教というより、優しい喝。
(しょうがないじゃん!断れなかったんだし、いいこともあったんだから!)

そんな言い訳を飲み込み、「はい。精進致します」とだけ答えました。
酒を飲み、笑い合いながらも、彼らの目は真剣そのもの。
その眼差しに背中を押され、やりますか。
(よし!物件を決めにかかろう。)
そして、炎天下の中をチャリで漕ぎまくる日々が始まったのです。
太陽は容赦なく照りつけ、腕や首はあっという間に真っ赤に日焼けしていく。
汗が目に入り、頭もクラクラしそうになる。

けれど不思議と、チャリを漕ぐ足は止まらなかった。
高揚感というか、やる気に背中を押されているようで、むしろ気持ちが軽かった。
気づけば人通りをぐるっと回って、4時間は走っていたが、全然平気だった。
オレって単純。
最寄りの大きな駅の周辺を回り、空きテナントを探す。
人の流れを観察し、家賃を抑えられる少し外れた立地もイメージする。
細い路地までくまなく見て回る。
正直、物件探しは簡単じゃない。以前にも経験はあるが、今回も思うようには見つからない。
それでも、25年ぶりに戻ってきた地元。
高校時代に過ごしたエリアを歩いていると、土地勘が少しずつよみがえってくる。
懐かしさと新しい挑戦が入り混じった、不思議な感覚を抱きながら...
「よし、次のエリアもいってみよう!」

そうつぶやき、ペダルを踏み込んだ。
1日目ーーエリアを少し絞れた。この辺りならやれるかも。
ただ、成果は0。でもなんか気持ちいい。
2日目ーー「とにかくアクションを起こさなきゃ」
ただ闇雲に歩き回るんじゃ意味がない。
そこで、まずは「ここならやれるかも」と思えたエリアを一つ決め、
その周辺の不動産屋に入ることにした。

この動き方が一番手っ取り早い。
それに、不動産屋に直接話を聞けば、坪単価や客層、人通りといった生の情報も取れる。
だから、とにかく手当たり次第に扉を開けて回った。
結果、この日は不動産屋を3件回ったが、どれも私のイメージする物件は見つからなかった。
「まあ、そう簡単に見つかるわけないか」と思いつつ、
だよね、そんなに甘くないよな、と自分に言い聞かせる。
正直、手応えはまだ薄い。
前向きな気持ちはあるけれど、
焦りがまったく無いかといえば嘘になる。
そんな気持ちを抱えたまま、帰り道をチャリで走った。
真っ青な空に入道雲が浮かび、セミが鳴きわめく。
最高の夏の景色のはずなのに、胸の奥の不安と重なってどこか鬱陶しく感じた。
「本当に良い物件、見つかるのかな…」
真っ青な空なのに、心は晴れなかった。
3日目ーー不安を抱えたまま、それでも足を止めるわけにはいかなかった。
「本当に良い物件なんて見つかるのかな」
そんな気持ちが頭をかすめる一方で、
「いや、きっとある。今日も探そう」と、
どこかで自分を奮い立たせ、足を前に押し出していた。
そうして狙っていたエリアを何度も見て回る。当たり前だが風景は変わらない。
それでも歩く。考えながら歩く。
――いや、考えているようで、実は何も考えていないのかもしれない。
不安なのに前向きで、焦っているのにどこか急いでいない。
足取りは軽いのに、胸の奥は鉛のように重たい。
うまくいく気もするし、絶対にダメな気もする。
心はぐちゃぐちゃのまま、それでも足だけは前に進んでいた。
ふと、気づけば参道に行き着いていた。
そこは高校時代、友達とよく溜まっていた場所だった。
大きな参道に、ぽつんぽつんと並ぶベンチ。

懐かしい空気が胸いっぱいに広がり、思わず立ち止まる。
まるで時間が一瞬だけ止まったような感覚。
25年ぶりに地元に戻ってきた意味を、じんわりと噛みしめていた。
(そういえば…ここで東谷さん(おなるくんを作ってくれた、愛すべき変態のドS野郎)が、
クリスマス、カップルに玉子投げてたなー。)
そんなエモさに浸っていたら、不意にあの記憶がフラッシュバックした。
――ある夜、東谷さんが「初めて3Pしたんだよ」と武勇伝を語っていたこと。
その話を聞いた私は、高校生ながら3Pという言葉にドキドキした。
あんなの変態のすることでしょ。当時ウブな私はそう思った。ただ、すごい興味があった。
「ラブホテルって3人でも入れるのかな?追加料金ってどうなるんだろ?」
「そもそも3人でやるって、どんな感覚なんだろ?」
当時、頭の中で止まらなかったそんな妄想を、今も鮮やかに思い出す。
そして気づけば、その思い出に引き寄せられるように...
話にあったラブホテルへ足が向いていた。
到着するとそこは、昔とあんまり変わらず、
ちょっと寂れたラブホテルが3軒くらいと、閑静な住宅街。
また近所には大きな公園があり、緑もいっぱい。
さっきまでまとわりついていたグチャグチャした気持ちが、
スーッと溶けるように消えていった。
不安も焦りも、ふっと遠のいていく。ただポーッとする感覚。
理屈じゃなくて、「あー、なんかここ好きだな」と思った。
――自分でも驚くほど、自然に口をついて出た。
「ここだ。オレのやりたいところ。」
3Pのことも、矛盾した気持ちも、そのときはもう頭になかった。
ただこの街に、漂っていたかった。
それだけの感覚だった。
風に揺れる木々や、少し寂れた街並みを眺めながら、ただ歩くのが気持ちよかった。
人通りは多くない。むしろ静かで、時間の流れがゆったりしていた。
商売を考えれば不安になるはずなのに、その静けさがなぜか心地よい。
建物もどこか古びていて、綺麗すぎない。
そのちょっとくたびれ具合が、街の空気と妙に合っていて、落ち着いた。
なんか理由なんてどうでもよくて、「あー、この空気感いいな」って、ただそれだけ。
そんな気分のまま、駅前の小さな昔ながらの喫茶店に入った。
冷たいアイスコーヒーとガンガンの冷房に当たりながら、
甲子園を眺めて、頭と体をゆっくり冷やした。
ここでフライドチキンのお店ができるか、ふと想像した。
うん。やっぱりできそう。この街で働きたい。
何より、ラブホすぐそばじゃん。だから落ち着くのか。
ってか、また東谷さんじゃん。
――そうだ。離婚で落ち込んでいたとき、
「おなるくんやればいいじゃん」と笑って言ってくれたのも東谷さんだった。
ラブホだってそう。「ラブホでバイトどうかな?」
「絶対そこにしろ!」と即答したのも、東谷さん。
あの何気ない一言が、結局いま私をここに立たせている。
高校時代のくだらない思い出から、大人になってからの選択まで。
すべての線が、この大宮公園で一本に繋がった気がした。
その瞬間、ラブホで一緒に働いた熟女社員、支配人、清掃スタッフたちの笑顔までふっと浮かんだ。
あの人たちの存在もまた、私をここまで連れてきた線のひとつだった。
そう思ったら、もう止まれなかった。
喫茶店のおばちゃんに空きテナントを聞き込み、教えられた場所をすぐチェック。
1件目を見た瞬間、胸の奥がドクンと高鳴った。
ドンずば。決まった。ここだ。
その足で、すぐ近くの地元系不動産屋に向かった。
「すみません、あそこの物件って…」
もう立ち止まってなんていられなかった。
とにかく早く結果を知りたくて、勢いのまま声をかけていた。
「管理物件じゃないけど、確認してみましょうか」
その瞬間、胸の奥で確信に変わった。
(きたーーーーー!!)

完全に舞い上がっていた。
期待と興奮で、もう頭の中は、店の光景でパンパンだった。
看板、厨房、メニュー、客席、チキンの香り――
頭の中に散らばっていたイメージが、次々カチッとはまっていく。
「これトントン拍子で行くやつだ!」
そう信じて疑わなかった。
けれど――。
この高揚感が崩れ去るなんて、
そのときはまだ想像もしなかった。
ではまたいつかの夜に。






